「糖尿病教室」 4

わたひき消化器内科クリニック 綿引 元

■糖尿病の治療はどのように行うの?


 糖尿病の治療には、食事療法、運動療法、薬物療法があります。特に、肥満による糖尿病の患者さんは食事療法と運動療法を実践し、減量に成功すると正常に近い血糖値になります。

(1)食事療法について
 食事療法が糖尿病治療の基本になります。肥満の人は食事療法によって体重を減らすだけで、血糖コントロールは良好になります。甘い物も御馳走もOKですが、常にカロリーを考えて適量を食べるよう心がけることが大切です。三度の食事だけでなく、女性では間食(おやつ)、男性ではアルコールも問題になります。糖尿病の食事は、糖尿病でない方も健康維持のための食事として最適なもの。メニューを工夫しバラエティを楽しみながら食べるようにしましょう。

(2)運動療法について
 散歩だけでも良いのですが、できれば楽しみながら継続できる自分にあった運動を見つけましょう。ただし、運動後に食べ過ぎてはかえって血糖値が上がってしまいます。食べ過ぎにはくれぐれも注意を。当院では皆さんの運動量についてパソコンで分析し、運動療法の指標を作るための準備を進めています。ご期待ください。


(3)薬物療法について

 古くから、広く使用されている糖尿病の薬(経口血糖降下剤)にはスルホニル尿素剤(オイグルコン、ダオニールなど)があります。この薬は膵臓に働きインスリンを分泌させ、血糖を下げてくれます。さらに、最近は食後過血糖改善剤(ベイスン、グルコバイ)がありますが、これは食物の消化吸収を遅らせることにより、食後に高血糖にならないようにする薬です。その他、インスリン抵抗性の関与が大きい肥満や運動不足の患者さんには、インスリン抵抗性改善薬(アクトス)を投与します。さらに、最近では速効型インスリン分泌促進薬(スターシス)等も開発されました。
  この他、1型糖尿病の患者さんはインスリンが膵臓から分泌されないので、インスリンの皮下注射が必須になります。2型糖尿病でも経口糖尿病薬の効果がない場合には、インスリンの皮下注射が必要になります。

※個々の治療の詳細については次回以降に詳しく紹介します。