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特集「糖尿病教室」 No.28

高齢者糖尿病の管理と治療について(その7)

わたひき消化器内科クリニック 院長 綿引 元

■高齢者の重症低血糖

低血糖は、高齢者にさまざまな悪影響をもたらします。重症低血糖は1回でも認知症を起こします。認知症を合併した高齢者では重症低血糖を起こしやすく、重症低血糖と認知症の悪循環に陥らないように治療することが大切です。  低血糖は転倒、転倒骨折、うつ傾向、生活の質(QOL)の低下など老年症候群とも関連しており、重症低血糖は心筋梗塞などの心血管系疾患の発症や死亡の危険因子にもなります。


  1. 糖尿病治療と重症低血糖(図)
    糖尿病治療と関連する重症低血糖は、スルホニル尿素(SU)薬(グリメピリド、グリクラジド、グリベンクラミド)の高用量の使用、腎機能の低下、HbA1c低値(6.5%未満)、HbA1c高値(インスリン治療の場合:HbA1cが高値でも血糖の変動が大きく、インスリンの増量で容易に低血糖を起こす)、長期の罹病期間、顕性蛋白尿が危険因子になります。
  2. 認知症、うつ、低栄養と重症低血糖
    認知機能の低下、うつ状態、身体機能(ADL)の低下も低血糖を起こす誘因になります。また、高齢者では食欲低下や低栄養が重症低血糖を引き起こします。
  3. 薬物相互作用と低血糖
    抗不整脈薬(シベノール、リスモダン)やニューキノロン系の抗菌薬(クラビット、アベロックスなど)、クラリスロマイシンなどはSU薬との併用で、低血糖が起こりやすくなります。  低血糖予防のために、SU薬やインスリン治療の場合はHbAlcを6.5%未満に下げすぎないこと、SU薬は出来るだけ少量で用いることが大切です。


発行/萩野原メディカル・コミュニティ