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日本人の食事摂取基準を考える(2005年版) その1 わたひき消化器内科クリニック 管理栄養士 綿引 眞躬

栄養所要量から食事摂取基準へ。
大きく変化した栄養に関する考え方。
日2005年4月「栄養所要量」が「食事摂取基準(2005年版)」に変わりました。呼び名だけでなく内容や考え方も根底から変わる大改定。そのリーダーを務めた国立健康・栄養研究所の佐々木 敏先生の記事(食べ物通信2005-4)をもとに改定のポイントを考えます。
●なぜ「栄養所要量」から「食事摂取基準」へ変わったのでしょうか?
今までの「栄養所要量」は「栄養の不足を避ける」ことを目的に、決定論的な考え方に基づいて決められていました。しかし、最近の栄養問題に適確に対処するためには、今まで以上に多彩な視点が必要となってきています。近年の世界的な流れは摂取範囲確率論を主軸とした食事摂取基準を策定することに注がれ、系統的レビューという方法を使ってつくられたレポートが公開されています。このような情勢をふまえ、また生活習慣病の一時予防も考慮して、日本でも初めて食事摂取基準が策定されたのです。

★摂取範囲とは?
 最近では、栄養の欠乏だけでなく栄養のとり過ぎも問題になっています。また特定の栄養素だけを大量に含んだ食品(サプリメントなど)の登場により、特定の栄養素のとり過ぎによる健康障害なども心配されています。そこで「これだけは必要ですよ」という下限値に加えて「これより少なく食べていれば過剰摂取による障害は生じないでしょう」という上限値を定め、「下限と上限の間を食べていれば、ひとまず安心」とするのが「摂取範囲」という考え方です。

★確率論とは?
 栄養欠乏にならないための量は個人個人で微妙に異なります。「誰にとっても正しい値」というものは存在しません。「食事摂取基準」の値と実際に食べている量を比べて、「ひょっとすると不足しているかもしれない」「多過ぎるかもしれない」と推測できるに過ぎません。そのため、絶対的な表現よりも「確率」として表現するほうが正しいということです。
★食事摂取基準とは?
 健康な個人または集団を対象に、健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防を目的にしてエネルギー及び各栄養素の基準を示すものです。2005年4月より「栄養所要量」に代わって登場しました。

★系統的レビューとは?
 沢山の学術論文を収集し、その内容を客観的に評価して科学情報を集約する方法です。今回の改定にあたっては、約百名の研究者が数万篇の論文や資料を収集・検討し、2年以上かけてレポートを制作しました。そのため、非常に信頼度の高い結果が得られています

「食事摂取基準」では、5つの指標を使って各栄養素の摂取量の基準を示しています。次回はこの指標を一つずつご紹介します。




発行/萩野原メディカル・コミュニティ