「糖尿病教室」 7

糖尿病の運動療法(その2) わたひき消化器内科クリニック 綿引 元

■運動治療の効果とは?


(1)運動により血糖が下がります
 血糖値が上昇する食後に運動した場合、食後の血糖が上がるのを抑える効果があります。

(2)血糖を低くする効果が1〜2日は続きます

 運動量が少ない場合はこの効果は現れにくいですが、運動後1〜2日は 運動をしなくとも血糖は 低めになります。

(3)インスリンの働きをよくします

 インスリンの働きを良くするには運動の継続が大切です。血糖が上がってしまう最大の原因は、インスリンの働きが悪くなり、筋肉や脂肪の組織で、うまく糖分を取り込むことができなくなってしまうことです。血糖が高くなった時に余分な糖分を取り込んでくれる組織が、肝臓と筋肉、そして脂肪の細胞です。運動不足で霜降り状態の筋肉や、パンパンに膨らんだ脂肪の細胞では、インスリンの働きが悪く、うまく糖分を取り組むことができないのです

(4)運動中は糖分だけでなく脂肪も燃料として使われます

 運動は、肥満の予防や治療に効果があります。運動には中性脂肪やコレステロールなど、血液中の脂肪を適正量に保ち、善玉コレステロールを増加させる働きもあります。しかし、運動で使われるエネルギーは思ったほど多いものではなく、脂肪の減量には時間がかかるので、肥満の改善には、食事療法の併用が重要です。運動と食事療法を焦らずに気長に続けることが成功の秘訣です。

(5)運動は血管の病気を予防します

 運動は血のめぐりを良くし、動脈硬化を予防する効果をもたらします。

 以上、運動の効果をまとめてみました。
また、運動にはこうした病気予防や症状のコントロールの効果だけでなく、生活の質を向上させる効果もあります。ゆとりのある生活は体力の向上から生まれるもの。運動を続けることで筋力や持久力、柔軟性や敏捷性などの体力が向上すれば、筋肉の疲労や肩こり、腰痛を予防し、転倒やけがの防止にも役立ちます。また、運動は気分転換やストレス解消にも役立ち、精神的な効果も大きいと考えられています。
 皆さん、老いも若きも生活の中に、自分に合った運動をしっかりと取り入れていきましょう!