呼吸器なんでもQ&A Vol.11

やなせ内科呼吸器科クリニック 院長 柳瀬 賢次

健康や病気に対する素朴な疑問に答えるなんでもQ&A。
今回は、呼吸器が発するSOSとも言える「咳」についてやなせ先生が答えます


■咳が長く続いたら


Q.1 かぜをひいてしまったのですが、熱が下がり、のどの痛みがおさまった後も咳だけが残って2週間以上続いています。最近では、夜中などに咳き込むこともあります。周囲の人は「かぜをこじらせたのだろう」と言いますが、不安です。何かほかの病気がある可能性はありますか。
A.1 のどの痛みと発熱で始まったのであれば、いわゆる「かぜ」の可能性が高いと思います。鼻、のど、気管支にウイルスや細菌等の病原体が感染した場合、気道(咽喉頭や気管支など)の粘膜に炎症が起き、粘膜は腫れ上がり、その表面を覆っていた細胞がはがれ落ちたりしています。ですから、発熱やのどの痛みなどの急性期の症状が消えても、気道の粘膜の損傷が修復するまでに時間がかかり、咳が長引くことが少なくありません。それは、「やけど」のときに痛みが消えた後も、皮膚の感覚が過敏な状態が続くのに似ています。傷ついた気道の粘膜が過敏になっているために咳が出やすくなっているのです。症状が2ヶ月間ほど続くことも珍しくはありません。治療上は、咳止めなどにより症状をやわらげ、気道粘膜が修復されるのを待つことが基本となりますが、細菌などの感染が持続していると考えられる場合は抗生物質を併用します。
  ご心配されている「ほかの病気」の可能性は少ないものの、肺結核や肺化膿症のような感染症、かびなどに対するアレルギー反応による過敏性肺炎、肺癌などのこともあり、咳が2週間以上続く場合はレントゲン写真を撮る必要があります。

Q.2 毎年、梅雨期になると熱も、のどの痛みもないのに咳だけが激しく出ます。梅雨が明けて夏になると自然に治ってしまうのですが、何が原因でしょうか。
A.2 発熱も、のどの痛みもなく、毎年、梅雨期に出現するという季節性があることから、感染症よりもアレルギーによる病気の可能性が高いと思います。気道のアレルギーというと、
(1)アレルギー性鼻炎
(2)アレルギー性咽喉頭炎
(3)主に太い「気管支」にアレルギー反応が 起こるアトピー咳嗽
(4)気管支喘息
などがあります。これらのいずれも頑固な咳を伴うことがあります。
  診断を進めるには、アレルギー反応が起こっているのかどうかを確認する必要があります。痰や鼻汁を出してもらい、その中にアレルギーの細胞(好酸球)がどの程度出現しているかを調べます。また、血液検査などで、アレルギー体質の程度や何に対するアレルギーを持っているかを調べるのも重要です。梅雨期に症状が出る場合には、イネ科の植物の花粉に対するアレルギーの可能性も考えられます。
  治療上は、(1)、(2)、(3)に対しては、スギ花粉症の時と同様に主に抗ヒスタミン薬が使われ、(4)の気管支喘息では吸入ステロイドが治療の中心になります。